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photo by 朴の木写真室

NGM

竣 工 : 2025.09

所在地 : 愛知県北名古屋市

物 件 :  長屋門(門と納屋)/修繕

構 造 : 木造平屋建て
面 積 : 73.02㎡

 

街を歩いていると、古くなった瓦屋根の木造建築が解体されている光景をよく目にします。柱や梁は細かく切り刻まれ、それらはトラックの荷台に山積みとなり、産業廃棄物として処理場へ運ばれていく。どこの地域でも珍しくない風景です。この長屋門も当初は同じ運命を辿る可能性がありました。

 

瓦の葺き替えは長らく行われておらず、ずれた瓦の隙間からは雨水が侵入。垂木や母屋、胴差し、柱にまで腐食が及び、一部はシロアリの餌食となっていました。特にひどい箇所では屋根が20cm以上沈み込み、いつ崩れてもおかしくない状態。さらに、長年の要望に応じる中で場当たり的な改変が繰り返され、柱が抜かれ、梁が欠き取られ、構造的にもかなり無理のある姿になっていました。もともとの造りや使われている材料も決して良いものとは言えず、正直なところ、「再生する価値がある建物なのか」という問いに、何度も立ち止まっていました。

 

それでも、この長屋門が、約100年にわたりこの家を守り続けてきた「顔」であることは紛れもない事実。その事実と、少なからず抱いてしまった解体後の敷地全体の寂しさが、最終的に「残す」という選択へと背中を押すこととなりました。

 

工事の最大の難所は、胴差しより上の小屋組。上下左右に波打つように歪んだ構造に、手練れの大工でさえ頭を抱える場面が続きました。何度も相談を重ねた末にたどり着いた結論は、「これは文化財ではない。ごく一般的な建物の再生である。」という、極めてシンプルな考え方。

 

合わないものを無理に合わせない。

いくつかの選択肢の中から、その都度“より良い”着地点を見つけていく。その繰り返しでした。材料も、納め方も、細部の判断も、限られた予算と時間を物差しに、絶えず動き続けている現場の声に耳を傾け、残すと決めた思いを軸に選び物事を選び続けました。

 

木造の建物として、「あと60年」。

この場所に立ち続ける未来を思い描きながら。

 

▼Before & After Painting

▼修繕前

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