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2022.09
志摩市の主催で「古民家調査”旧猪子家住宅”と”いかだ丸太の家”を調べる」というテーマのもと、市民提案型協働事業として「島の気候風土と住まいづくり学習事業」が行われ、「旧猪子家住宅の改修」と「志摩の小庭いかだ丸太の家」を携わった設計士としてお手伝いをさせていただきました。
この調査は、三重県立伊勢工業高等学校の建築研究部の生徒さんが、志摩市の古民家再利用提案へ向けて行われたものです。「旧猪子家住宅」にこめられたさまざまな設計・施工上の工夫を調べることで、これからの生活環境デザインに向けて、古民家がもつ可能性について考えるヒントをさぐりました。また、設計・改修・復旧工事にあたった弊所、また施工者により解説のほか、隣接する気候風土適応型住宅の「いかだ丸太の家」の見学を行い、施主との意見交換も行いました。
※一部本事業の報告書を引用しています
▲ 当日は10名程度の生徒さんと建築研究部OGの方がお見えになられました。結構残暑が厳しかったです。
▲ コンペ応募のために検討を重ねて作った「設計の資料」、また芸術家である施主が製作した「敷地模型」、そして大工が修繕した「旧猪子家住宅」という建築に関わる3者全員の協力で実現した講習会です!!
▲ 時間は短かったですが「どういったところが古民家改修で必要になってくるか」など、改修前の調査資料を活用して説明を行いました。5年前に作成した当初の資料がここに来て、このような活躍するとは思いも寄りませんでした。
▲ 生徒さんたちは「1:設計施工の工夫や使用された材料、仕上げなどを観察して調べる」「2:室内外の温湿度を測定し、昔の建物の特徴を考察する」という課題が課せられており、グループに分かれて調査も行っていました。(写真は併設する蔵の2階にて撮影)
▲ 昭和9年築の旧猪子家住宅。当時の施工方法を理解し、それに習った修繕方法を携わった大工と試行錯誤した記憶が思い出されます。一部が洋風になっている部分もあり、その当時の背景まで読み取る必要があり、かなり奥深いプロジェクトでした。
▲ また「志摩の小庭いかだ丸太の家」へも脚を伸ばしていただきまして、設計のプロセスやプロジェクト全体の説明をしました。
この建物は気候風土適応型住宅という国交省の支援を受けた建物です。今はほとんど行わない伝統的な古い住宅の造り方をしており、今回調査を行った「旧猪子家住宅」と通ずるものがあるため、修繕案件併せて新築であるこの建物を見学していただきました。今後、この若い世代が建築の仕事を目指す時、少しでも自分自身の方向性を定める時の糧になればと思います。
最近はマスク越しで話しをする機会がほどんどで、会話に対するリアクションがお互い読み取れない事も少なからずあり、意思疎通が難しいなと感じることがありますが、この日は若い生徒さんたちの熱いまなざしがしっかり伝わってきた一日でした。
※掲載写真はチェックを受けて使用しています。
【調査の概要】
●日時:
2022 年 9 月4日(日) 13:30 - 16:30
●参加者:
東原達也(一般社団法人三重県建築士会志摩支部副支部⻑・東原建築工房代表)
六浦基晴(エムサンク_アーキテクト一級建築士事務所・建築家)
竹内孝治(愛知産業大学造形学部建築学科・准教授)
東原大地(東原建築工房・大工)
三重県立伊勢工業高等学校建築研究部(5名)・濱口典茂先生
愛知産業大学大学院・学生(平賀)、三重短期大学・学生(別當)
●プログラム:
13:10 伊勢工業高校生徒、近鉄賢島駅到着〜現地へ移動
13:30 現地到着 13:50 事前説明(竹内・東原)
14:00 見学・調査(竹内)
15:30 旧猪子家住宅・いかだ丸太の家解説(六浦・東原)
16:30 解散
※本事業の報告書を引用しています